オンラインショッピングやサブスクリプションシステムの普及、SNSを通じた情報収集が当たり前になることで、口コミの影響力が増大するなど、情報を得る手段や購入の選択肢はかつてないほど豊富になっています。
その一方で、消費者を誤解に導くような表示や広告も増えてきました。
特にSNSの発展により、一つの誤った情報が瞬時に拡散することも少なくありません。
正確な情報に基づく選択を守るための法律として、「景品表示法」があります。
事業者と消費者の間に信頼関係を築くための基盤として、また、公平な取引を促進するためのルールとして、この法律は非常に大事な役割を果たしています。
今回は、景品表示法の基本的な内容を、具体例などを挟みながら解説していきます。
新たにビジネスを始める方や事業者の方だけでなく、消費者に当たる方も自身を守るために知っておくべき内容です。
INDEX
景品表示法は「不当景品類及び不当表示防止法」が正式名称で、消費者を守るための法律の一つです。
この法律の主な目的は、消費者が誤解を受けるような表示や広告を防ぐこと、そして公正な取引を促進することにあります。
また、景品表示法と独占禁止法は、異なる目的を持つ法律でありながら、ビジネスの現場での適用面で関連性があります。
独占禁止法は、公正な競争を保護し、不当な取引方法を禁止することを目的としています。
一方、景品表示法は消費者保護を主眼に置いていますが、不当な表示や広告によって他の事業者との公正な競争が妨げられる場合、これも問題となります。
そのため、事業者は両法の規定を遵守する必要があり、特にマーケティング活動や広告戦略を考える際には、これらの法律の要件を十分に理解しておくことが求められます。
このように、景品表示法は単なる消費者保護の法律ではなく、事業者間の公正な競争を促進する側面も持っているのです。
そして、事業者はこの法律の内容をしっかりと理解し、適切な対応を取らなければなりません。
景品表示法は、消費者を守るための法律としていくつかの規制を設けています。
その中でも特に抑えておくべき規制について、1つずつ見ていきましょう。
商品やサービスの品質や規格などの内容について、事実に反して、競合事業者のものよりも著しく「良い」と感じさせるように、消費者に誤認させるような表現をすることです。
虚偽の実績や効果を謳う、他社の商品との比較において誤解を招くような表現をすることなども含まれます。
商品やサービスの価格などの取引条件において、実際のものや事実に反して、競合事業者のものよりも著しく「有利」と感じさせるように、消費者に誤認させるような表現をすることです。
当該販売価格よりも高い価格を併記して表示する二重価格表示、自社製品に有利な切り取り方をした、平等な条件ではない料金比較表などがこれに当たります。
顧客を誘引する手段として、商品やサービスと引き換えに景品を提供することに対する制限です。
景品(おまけ)として提供できる限度額は決まっているため、実商品の価格を上回るものを付属品とすることは禁止されています。
商品やサービスに関する事実と異なる表示をすることは禁止されています。
これには、原材料、製造方法、使用方法など、商品に関するあらゆる情報が含まれます。
これらの規制は、消費者を誤解や混乱から守るため、そして公正なビジネスの競争を促進するために定められています。
景品表示法に違反すると、その結果として様々な制裁が課せられます。
これらの制裁は、消費者の保護を目的としており、事業者に対して法的な義務を強く意識させるものとなっています。
景品表示法への違反行為が認められると、事業者には弁明の機会を与えられた上で、措置命令が出されます。
これは、違反行為の差し止めなど必要に応じた指示であり、従わない場合はさらなる制裁が下される恐れがあります。
重大な違反や、勧告・命令に従わない場合には、罰金が課せられることがあります。
この罰金は、事業規模や違反の度合いに応じて変動しますが、大きな金額となることも少なくありません。
違反が公になることで、事業者の信頼やブランドイメージが大きく損なわれることが考えられます。
特に、消費者との信頼関係がビジネスの基盤となる場合、この名誉の損失は回復が難しく、長期的な影響を及ぼすことがあります。
景品表示法を守ることは、単に法的な義務を果たすだけでなく、事業者としての信頼性やブランド価値を維持・向上させるための取り組みとして不可欠です。
知識を得ることで違反のリスクを避けるように心がけましょう。
意識しないとつい使ってしまいがちな、景品表示法に違反する恐れのある表現を具体的にみていきましょう
「世界一」「人気No.1」「最高級」などの最上級表現は、具体的な根拠やデータがない限り使用すべきではありません。
これらの表現を使用する場合は、比較対象や根拠を明示する必要があります。
「1ヶ月で5kg減量可能」「使用するだけでシワが消える」などの具体的な効果を約束する表現は、実際の効果や効能を示すデータや証拠がない場合、使用を避けるべきです。
「絶対に効果がある」「100%満足する」などの絶対的な保証を伴う表現は、実際の結果が保証されていない場合、使用すべきではありません。
「今日だけの特別価格」「残りわずか」などの期間や数量に関する限定的な表現を使用する場合、実際にその期間や数量が限定されていることを確認し、虚偽の情報を提供しないよう注意が必要です。
「完全無料」「半額以下」などの価格に関する特別な表現を使用する場合、本当にその価格のみで良いのか、隠れた費用や条件がないか確認しましょう。
また、「通常価格10,000円、今だけ5,000円」といった二重価格の表示は、実際に10,000円で販売されていた経緯や期間が明確でない場合、消費者を誤解に導く恐れがあります。
実際の販売価格と異なる参考価格を表示することは、景品表示法に違反する恐れがありますので注意が必要です。
景品表示法は、消費者を守り、企業間の公正な競争を促進するための重要な法律です。
適切な情報提供と正確な表示は、消費者の信頼を獲得し、長期的なビジネスの成功に繋がります。
特にヘルスケアビジネスにおいては、人々の健康や美容、生活の質に関わるサービスや商品を提供しているため、その信頼性や安全性は非常に高い水準で求められます。
景品表示法を知り、遵守することは、企業としての信頼を得るための基本的なステップと言えるでしょう。
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