テクノロジーの進化とともに、多くの情報にアクセスすることが、飛躍的に容易になってきました。
スマートフォンやタブレット、PCさえあれば、インターネットを通じて世界中の情報が手に入るのです。
その一方で、皆が同じように情報を得られるのかというと、そうではありません。
視覚や聴覚の障害を持つ方、高齢者、言語の壁に直面する外国人、技術的なハードルを感じるデジタル非熟練者。
さまざまな背景や状況を持つ人々が、情報やサービスに平等にアクセスするための「アクセシビリティ」の重要性が、改めて注目されています。
そして、このアクセシビリティの考え方は、D&I(多様性と包摂性)とも深く結びついているのです。
今回は「アクセシビリティ」とは何か、D&Iやウェブサイトとの関連についても触れながら探っていきます。
INDEX
アクセシビリティとは、「接近できること」「近づきやすさ」を意味します。
具体的には、あらゆる人々が情報やサービスに平等にアクセスできるようにするための取り組みや考え方を指します。
これには、物理的なアクセスの確保だけでなく、便利さ、わかりやすさも含まれます。
例えば、ウェブサイトにおけるアクセシビリティとして「視覚障害者が音声読み上げソフトを使用して情報を取得できるようにする」、「色覚障害者にも配色やデザインが分かりやすいように工夫する」といった取り組みを指します。
また、高齢者がスマートフォンの小さな文字を読むのが難しい場合、文字の大きさを変更できる機能の提供もアクセシビリティの一つです。
このように、アクセシビリティは情報の平等な提供を目指すものであり、それを実現するための具体的な取り組みや工夫が求められます。
そして、これはD&Iの考え方とも深く関連しており、多様な背景を持つ人々が社会の一員として活躍するための基盤となるものです。
D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)は、企業や組織における多様性の尊重と、それを活かす取り組みを指します。
ダイバーシティは「多様性」、インクルージョンは「包摂性」を意味し、ビジネスの成功要因として、これらの考え方を取り入れる企業や組織が増えてきました。
アクセシビリティは、D&Iの考え方と深く関連しています。
なぜなら、アクセシビリティの取り組みは、多様な背景や能力を持つ人々が情報やサービスに平等にアクセスできるようにすることを目的としているからです。
これは、D&Iの目的である「多様性を活かし、誰もがその能力を最大限に発揮できる環境を作る」ことと直結しています。
このように、アクセシビリティとD&Iは、情報やサービスの平等な提供を目指すものとして、密接に関連しています。
そして、これらの取り組みは、企業や組織のブランド価値を高め、信頼と評価を得るための重要な要素となっています。
D&Iの視点から、アクセシビリティとの関連性を見ていきましょう。
D&Iの核心は、個々の違いや多様性を尊重し、それを組織の強みとして活用することです。アクセシビリティも、多様なニーズや背景を持つ人々が情報やサービスにアクセスできるようにするための取り組みです。両者は、多様性を尊重し、それを活かすという共通の目的を持っています。
D&Iの取り組みの一環として、情報やサービスへのアクセスの平等性が重視されます。アクセシビリティは、この平等なアクセスを実現するための具体的な手段として位置づけられます。
D&Iは、すべての人が社会の一員として活躍できる環境を作ることを目指しています。アクセシビリティの取り組みを通じて、障害を持つ人々や高齢者など、情報へのアクセスが難しいとされる人々も、社会の一員として活躍できるような環境が整備されます。
D&Iの取り組みを進めることで、組織やブランドへの信頼が高まります。アクセシビリティの確保も、利用者や顧客からの信頼を得るための重要な要素となります。
D&Iとアクセシビリティは、多様性を尊重し、それを活かすという共通の目的を持ちながら、それぞれ異なるアプローチや手段でその実現を目指しています。
両者は密接に関連しており、一方の取り組みが他方の取り組みを強化することが多いと言えるでしょう。
ウェブサイトは現代の情報社会において、情報やサービスの提供、コミュニケーションの場としての役割を果たしています。
そのため、ウェブサイトのアクセシビリティは、多様なユーザーが情報やサービスにアクセスするための鍵となります。
ウェブアクセシビリティとは、ウェブサイトやウェブアプリケーションが、障害の有無や使用するデバイスに関係なく、すべての人々に利用されることを目指す取り組みです。
これには、視覚障害者や聴覚障害者、高齢者など、さまざまな背景を持つユーザーのニーズを考慮することが含まれます。
その方向性を示したいくつかの例をご紹介しましょう。
ユニバーサルデザインは、すべての人々が平等に利用できるように設計された製品や環境を指します。
この考え方は、文化や言語、年齢や性別の差異、能力に関係なく、すべての人々が快適に利用できることを目指しています。
例えば、建築物の入り口にスロープを設けることは、車椅子の利用者だけでなく、ベビーカーを押す親や高齢者に対しても利便性をもたらしていますよね。
ウェブサイトにおいても、ユニバーサルデザインの考え方が必要です。
デバイスに応じて適した文字サイズを表示させる、色のコントラストを高めることで視認性を上げるなど、誰にとっても情報の読み取りがしやすいように配慮をすることは、基本的な配慮と言えるでしょう。
また、ユニバーサルデザインは、単に「使える」だけでなく、「使いやすい」を目指すものです。
ウェブサイトのナビゲーションやレイアウト、情報の整理などもユーザビリティの向上に繋がりますので、見た目のデザインだけでなく、設計の段階から意識していく必要があります。
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)は、ウェブコンテンツのアクセシビリティを向上させるための国際的なガイドラインです。
このガイドラインは、視覚・聴覚・運動・認知の障害を持つ人々を含む、すべてのユーザーがウェブコンテンツにアクセスできるようにすることを目的としています。
WCAGは、具体的な技術的な要件や実装方法を提供するものではなく、むしろアクセシビリティを確保するための目的や原則、そしてそれを達成するための具体的な基準やチェックポイントを示しています。
これにより、ウェブサイトの設計者や開発者は、自らのサイトやアプリケーションがどの程度アクセシブルであるかを評価し、必要な改善を行うことができるのです。
WCAGは、以下の4つの原則に基づいています。
日本においても、WCAGはウェブアクセシビリティの基準として広く認知されており、公共機関や大手企業を中心に、これらのガイドラインに基づいたウェブサイトの整備が進められています。
日本では、公共機関のウェブサイトに対して、JIS X 8341-3というアクセシビリティ基準の適合が求められています。
ウェブアクセシビリティのJIS規格(日本産業規格)JIS X 8341-3は、国際的なウェブアクセシビリティのガイドラインであるWCAG 2.0を基にした日本独自の基準で、日本のウェブアクセシビリティの標準として定められている規格の一つです。
この規格は、情報通信における高齢者・障害者の利用環境を考慮したガイドラインを提供しています。
「ウェブからの情報提供やサービスが、高齢者や障害者にとっても、利用しやすい形で提供されるべきである」という考え方が基盤となっています。
JIS X 8341-3の主な内容として、以下のような点に焦点を当てています。
日本においては、公共機関や自治体、大手企業などが、このJIS X 8341-3のガイドラインに基づいてウェブサイトの整備やリニューアルを行っています。
また、この規格はWCAGとも連携が取られており、国際的なウェブアクセシビリティの標準としての側面も持っているのです。
アクセシビリティを向上させることで、ウェブサイトの利用者層が拡大し、より多くの人々に情報やサービスを提供することが可能となります。
また、SEO(検索エンジン最適化)の観点からも、アクセシビリティの向上はウェブサイトの検索順位を向上させる要因となり得ます。
ウェブサイトのアクセシビリティは、情報やサービスの平等な提供を実現するための重要な取り組みであり、多様なユーザーに対応することで、ウェブサイトの価値や信頼性を高めることができるのです。
アクセシビリティは、情報やサービスを平等に提供するための基盤となる考え方です。
そしてD&Iの視点からも、多様な背景を持つ人々が社会の一員として活躍するための基盤として、アクセシビリティは欠かせない要素となっています。
ウェブサイトにおいては、ユニバーサルデザインの考え方やWCAGのガイドラインを取り入れることで、より多くの人々に情報を提供することが可能となります。
日本においても、公共機関のウェブサイトにはアクセシビリティの基準が設けられており、これを遵守することで、情報の平等な提供を実現しています。
アクセシビリティは単なる「義務」や「要件」を満たすためのものではありません。
それは、私たち一人ひとりが社会の一員として、情報やサービスを平等に享受するための権利を確保するためのものです。
この考えを持ち続け、日々の業務やサービス提供に取り組むことで、より良い社会を築いていくことができるでしょう。
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