健康や美容に関する情報が溢れる中、先進的な治療や施術に注目が集まりがちですが、指圧やマッサージ、鍼灸といった伝統的な日本の施術を好む方も多くいらっしゃいます。
これらは「あん摩マッサージ指圧師」「はり師」「きゅう師」などと呼ばれる方が、接骨院や鍼灸院などで行う施術です。
医療行為ではありませんが、国家資格を必要とした施術であるため、これらの施術を行う際の広告や宣伝には、特定の法律に基づく制限が存在します。
それが「あはき法」として知られるものです。
この法律は、消費者を守るため、そして適切な情報提供を促進するために制定されました。
しかし、具体的にどのような内容なのか、また、ホームページや広告を制作する際の注意点は何なのか、まだ十分に知られていません。
今回は、あはき法の基本的な内容から、広告規制の現状や具体的に指導の対象となった事例までを解説していきます。
「あはき法」とは、正式には「あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師法」という名称の法律で、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格取得や施術に関する基準、そして広告や宣伝に関する規制を定めています。
これらの施術は伝統的な日本の治療法として古くから行われてきましたが、施術を行う者の資格や業務の基準が必要となったことから、昭和22年に「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」が成立、さらに国家資格の身分免許であることを明確にさせために、昭和26年「あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法」に名称が変更されました。
その後、昭和45年に柔道整復師法が単独法となったことを機に、現在の名称に至ります。
この法律の主な目的は、消費者を誤解や偽情報から守ること、そして施術者の資質を確保することにあります。
特に、広告や宣伝においては、施術の効果や安全性に関する過度な表現や誇大広告を禁止しており、これに違反すると罰則が科されることもありますので、注意が必要です。
また、あはき法のもとで、あん摩、はり、きゅうの施術は医療行為ではないとされていますが、それぞれの施術を行うためには国家資格が必要です。
そのため、無資格でこれらの施術を行うことは違法となります。
さまざまな情報が交錯する中で、消費者が適切な情報を得られるよう、また、安全に施術を受けられるよう、こういった法律が存在しているのです。
気軽に情報発信ができるようになった昨今だからこそ、ホームページやSNSなどで不適切な内容を掲載することがないように、法律の内容を正確に理解し、適切な情報提供を心がけることが求められています。
「あはき法」の広告表示に関するガイドラインは、作成方針についての議論を最後に、現在はまだ検討中です。
厚生労働省からは、2019年11月14日に「これまでの議論を踏まえた広告ガイドライン(案)作成方針について」と議題を掲げた時の資料が公開されています。
▶参考:広告ガイドライン(案)作成方針
ここでは、利用者に必要な情報が正確に提供され、適切に利用する施設を選択できるようにすることが規制の趣旨となり、施設側は認められた事項以外は原則として広告が禁止となるような方針が掲げられました。
また、すでに定められている医療広告ガイドラインを参考にしていくことが示唆されています。
▶参考:医療広告ガイドライン
「あはき法」に基づく広告に関するガイドラインの制定が検討されている中ではありますが、事業者や施術者がホームページやWeb広告を制作する際には、次のような注意点に気を配る必要があります。
施術の効果や安全性に関する過度な表現や誇大広告は避けるよう努めましょう。具体的な病名や症状の改善をうたった広告も、慎重に取り扱うことが求められます。
施術を行う者の資格や所属する団体、施術場所などの情報を明示することで、消費者の信頼を得ることができます。
あん摩、はり、きゅうの施術は医療行為ではないとされているため、これを明確に区別し、誤解を招かないような表現を心掛けましょう。
施術の内容、効果、リスクなど、消費者が施術を受ける際に知っておくべき情報を正確に提供することが大切です。
これらの注意点は、消費者の信頼を得るためにも非常に重要な遵守すべき基本事項です。
違反すると罰則が科されることもあるため、十分な配慮を心がけましょう。
厚生労働省が行った実態調査医の報告書「あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等」を元に、指導が必要とされた事例をいくつか見ていきましょう。
※以下の内容が必ずしもNGというわけではありません。議論に上がったことのある注視すべき内容として参照ください。
病院・診療所名称に紛らわしい名称を使用しないよう指導
例)○○治療院、○○総合治療院、○○治療所、○○治療室、○○療院、メディカルマッサージセンター
施術の種類を明示するよう指導
例)○○施術所、○○施術センター
以下を使用しないように指導
「医」、「医療」、「リハビリ」、「クリニック」、「メディカル」、「センター」、「研究」、「美容」、「整体」、「漢方○○院」、「リラクゼーション」、「コンディショニング」、「カイロ」、「○○骨盤」、「腰痛」、「訪問」、「○○アスリート」、「○○スポーツ」、「レディース専門」、「トータルボディー」、「介護予防」、「保険診療」、「整骨」 等
以下の内容に対し、指導
これらの事例に対し、各都道府県からも「認めるべき」「規制すべき」と対峙する意見が出ているものもあり、今後も議論が続いていくことが予測されます。
掲載内容に迷いがある際には、自治体などに相談すると良いでしょう。
▶参考/引用:あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等
「あはき法」は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格取得や施術に関する基準、そして広告や宣伝に関する規制しています。
この法律は、消費者を誤解や偽情報から守るため、そして適切な情報提供を促進するために制定されました。
具体的な広告ガイドラインの制定はまだ検討中であり、事業者や消費者にとって、どのような内容の広告が許容されるのか、またどのような広告が制限されるのかは、今後の議論やガイドラインの制定を待つ必要があります。
今回のコラムで取り上げた実際の事例を通じて、現状での広告の取り扱いや注意点を理解することができたかと思います。
特に、施術所の名称や適応症、効果・効能に関する広告に関しては、施術の強みをアピールすることにも直結するため、今後も動向を注視していきましょう。
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