インターネットやSNSの普及により、商品やサービスを宣伝する手段は多様化しています。
その中で近年問題視されているのが「ステマ」です。
ステマとはステルスマーケティングの略で、広告であることを伏せて商品やサービスを宣伝する手法のことを指します。
消費者の信頼を裏切る行為であることから、大きな騒動に発展したり炎上したりするケースも少なくありません。
ついに政府も対策に本腰を入れ始め、いよいよ今年10月からステマに対する規制がスタートすることになりました。
これを機に、企業側も自社のステマ対策を見直す必要があります。
今回は【前編】と【後編】に分けて、過去に実際あったステマの事例を振り返るとともに、今後企業がとるべき対策について考えてみたいと思います。
INDEX
ステルスマーケティング(ステマ)とは、インターネットなどで事業主が広告であることを隠したまま宣伝する行為のこと。
いわゆる「やらせ」や「サクラ」がこれに該当します。
たとえば、事業主が第三者を装って自社商品に関する好意的なレビューを書き込んだり、同業他社のネガティブな情報を投稿したりすることもステマになります。
最近では、企業が芸能人やインフルエンサーなどに報酬を提供し、広告とわからないようSNSやブログなどで商品やサービスを宣伝してもらうケースなども増加。
ステマが発覚し、炎上したケースも少なくありません。
過去、国内で問題となったステルスマーケティングの事例をいくつか挙げてみましょう。
2012年1月、飲食店のランキングサイト「食べログ」において、口コミ評価代行業者による順位操作が行われていたことが明らかになりました。
ユーザーが自由に飲食店の評価や口コミ情報を投稿できることを悪用し、業者が店側から報酬を受け取ることで、食べログ上で評価の高いレビューを投稿していたのです。
食べログの運営元であるカカクコムの調査では、実に39社もの「やらせ業者」が存在したことが発覚したといいます。
食べログ詐欺事件と同じ2012年、ペニーオークションサイトで発生したステマ事件。
事の発端は、複数の芸能人が「ペニオクで高額商品を格安で落札できた」などとブログに相次いで投稿したこと。
実は、これらの芸能人たちはペニオクから報酬を受け取り、実際には商品を落札せずに紹介記事を書いていたことが発覚。
「ステマ」であることが世間に知れ渡り大炎上しました。
さらにペニオク自体が入札者から手数料を不当に得る詐欺的な仕組みで運営されていたことも明るみとなり、経営者が逮捕される事態にまで発展。
このペニオク事件は全国的に大きな問題となると同時に、「ステマ」という言葉が世間に広く知れ渡るきっかけとなりました。
2019年12月、映画「アナと雪の女王2」の公開後、7人の漫画家がほぼ同じタイミングでTwitter上に映画の感想を描いた漫画を投稿しました。
さらにハッシュタグの記述もまったく同じだったことから、「ステマではないか」という指摘が相次ぐことに。
調査の結果、漫画家たちの投稿はウォルト・ディズニー・ジャパンから報酬が支払われた上でのマーケティング施策であることが明らかになりました。
その後、漫画家たちは自分たちの投稿にPR表記がなかった旨をTwitter上で謝罪。
最終的に、ウォルト・ディズニー・ジャパンまでが公式に謝罪文を発表する事態にまで発展しました。
2022年1月、動画共有アプリTikTokの日本の運営会社TikTok Japanがインフルエンサーに報酬を支払った上で、特定の動画を一般投稿のフリをして紹介させていたことが発覚。
TikTok Japanは「多くのみなさまに不信感を持たせてしまった」として、正式に謝罪しました。
ここでも「#PR」などの広告表記をしていなかったことがステマにあたるとして問題になりました。
上記は、国内で特に世間を騒がせたステマ事例です。
もちろんヘルスケア業界も例外ではなく、過去には騒動に発展したケースも。
ヘルスケア業界において、近年特に問題となったステマ事例を2つご紹介します。
2021年4月、フジテレビの女子アナ数名が都内の美容室から無料でサービスを受け、その見返りとして自身の写真をお店のSNSに使わせていたことが発覚。
この行為はステマにあたるのではないかとされ、大きな波紋を呼びました。
さらに同年5月には、都内のエステサロンにおいて同様の行為をしていた女子アナがいたことも報じられました。
今回の件に関わった女子アナたちのイメージダウンは避けられず、彼女たちは批判の矢面に立たされることに。
なお、この件を10月に施行されるステマ規制にあてはめて考えると、景品表示法違反の責任を負うのはアナウンサーたちではなく、美容室やエステサロン等の事業者になります。
2023年1月、東京の健康食品販売会社がネット上の口コミを装い、合理的な根拠なくサプリメントの豊胸効果を謳ったとして、消費者庁から総額 1 億1,716 万円の課徴金納付を命じられました。
ステマ広告で景品表示法に基づく課徴金の納付命令が出されるのは初めてのケース。
課徴金額としても、歴代7位にあたるとされています。
同社は2018年以降、親会社と共同し、複数のインスタグラマーに対して商品サンプルを無償提供する代わりに、SNS 上で広告であることを隠したまま「#バストアップ」「#胸大きく」等のハッシュタグをつけて投稿するよう指示していたとのこと。
これらの行為は景品表示法の優良誤認表示にあたるとして、2021年11月に消費者庁から表示の停止などを求める措置命令が出されていました。
「ステマ」は、消費者との信頼関係を損なったり、商品やサービスの健全な競争を阻害したりする可能性がある悪質な行為。
過去の事例を振り返ってみても、企業のマーケティング戦略としてはハイリスク・ローリターンであるといえるでしょう。
次回【後編】では、10月からスタートするステマ規制の内容と、企業がとるべき対策についてご紹介していきます。
ホームページ制作に関するご要望やお⾒積りなど、お気軽にお問い合わせください。
ヘルスケアWebでは、ライバル調査などの結果を踏まえ、
お客様のホームページの⽬的に沿ったプランをご⽤意させていただきます。