サプリメントや健康食品と呼ばれるものは、どちらも健康の維持や増進に役立つ食品で、それぞれに明確な定義はありません。
一般的には、サプリメントは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」、健康食品は「健康の保持増進に資する食品全般」といった傾向が強いですが、お菓子から飲料まで、その範囲や言葉の境界線も曖昧なまま広く認識されています。
法的な観点からは、いわゆる健康食品とは行政的な言い方であり、国が保健効果や健康効果などの表示を許可している製品(保健機能食品など)以外を指しています。
今回はサプリメントや健康食品の販売・PRに関連する法律を3つ紹介します。
食品衛生法は、飲食によって生ずる危害の発生を防止するため、食品の安全性を確保し、公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律です。
所管官庁は厚生労働省と消費者庁で、食品と添加物などの基準、表示、検査などの原則を定めています。
サプリメントや健康食品も食品衛生法の対象となる食品ですので、下記のような規定に従う必要があります。
サプリメント・健康食品の名称、原材料、内容量、製造者、販売業者、賞味期限等の定められた表示が義務付けられています。
効果効能を断定的に表現したり、医薬品と誤認させるような表現をしたりすることはできません。 これらの注意点を守らないと、行政処分を受ける可能性があります。
薬機法は医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器について定めた法律ですが、サプリメントや健康食品とも深い関わりがあります。
例えば医薬品と誤認されるような効能を標榜する、医薬品にしか使用できない成分を使うなどをすると、「無承認無許可医薬品」として扱われ、薬機法違反とみなされます。
特に薬機法違反と判断されやすいサプリメント、健康食品のポイントを4つ解説します。
サプリメントや健康食品には、体への影響が強いもの、危険な成分は使用できません。
医薬品として使用される成分はリストとして公表されており、これらの原料をサプリメントや健康食品で使用すると薬機法違反となります。
医薬品と見誤るような形状を用いると、薬機法違反となる恐れがあります。
例えば舌下錠(舌の下で溶かすようなもの)やアンプル(注射剤を入れる容器のようなもの)などがそれにあたります。
サプリメントや健康食品はあくまでも食品です。
用法や用量の指定があると医薬品と誤認される恐れがありますので、摂取する時間や量を指定する、具体的な飲み方を掲載する、対象者を限定するなどは避けましょう。
治療や予防に使用される医薬品に対し、例え健康目的であってもサプリメントや健康食品で効果や効能について標榜することは禁止されています。
広告などで表現できる内容には規制がありますので、十分に注意しましょう。
健康増進法は、国民の健康の保持増進を図ることを目的とした法律です。
2003年のガイドライン改定により、虚偽・誇大広告の禁止規定が置かれました。
ここでは健康増進法によるガイドラインで、特に気をつけるべき3つのポイントについて解説します。
特定の食品や成分に係る学術的解説などを掲載した記事の付近から、商品販売ページや販売業者に容易にアクセスできるような状況は、ガイドライン違反となる恐れがあります。
薬機法では広告ではなく「記事」という位置づけであれば、特定の商品名を挙げてその効能を述べた場合でも違反にはならないため、健康増進法はそのグレーゾーンを埋める形の規定となります。
特定の食品や成分の健康増進効果等に関する書籍やホームページなどから、関連リンクや相談室のような形で誘導した先が直接の販売業者でなくても、そこから特定の商品名がわかるようになっていたり、顧客を勧誘する意図があったりする場合には広告とみなされます。
第三者がサプリメントや健康食品、その成分などの効能を述べることは薬機法違反にはなりません。
こちらも薬機法の規制領域ではグレーとなっていた範囲をカバーし、制限を設けています。
虚偽・誇大広告の禁止について、販売業者だけでなく媒体側も責任を負う可能性についても触れています。
ガイドライン施行時には、媒体が責任を負うのは虚偽と知っていた場合のみと解釈できる内容でしたが、メジャーなメディアでは真意の判断が難しい商品は扱わないなど、広告審査も厳しくなる傾向にあります。
サプリメントや健康食品サプリメントを販売・PRしていく上で最も配慮すべきことは、「医薬品」との違いを明確に意識し、混同させないことです。
それぞれの法律の基本を理解し、また常に最新の情報を収集していくように努めましょう。
食品衛生法:表示や広告の規定
薬機法:広告表現の規定
健康増進法:虚偽・誇大広告の禁止規定
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