「オムニチャネル」という言葉は、近年のマーケティング業界でよく耳にする用語となりました。
この概念は主にECサイトを利用した小売業などを中心に広まっている販売戦略の一つです。
企業(店舗)とユーザーの接点であるチャネル、つまりはWebサイトやSNSだけでなく、メールやスマホアプリといった接触ポイント、さらには実店舗での接点も含めたチャネルを連携することで、ユーザーに一貫した体験を提供することが目的となります。
美容クリニックにおいても、このオムニチャネル戦略の考え方が取り入れられてきています。
患者さんは、Webサイトでクリニックの特徴や施術内容などを調べ、SNSで口コミをチェックし、スマホアプリから予約をして来店するという、多岐にわたるチャネルを利用することがすでに当たり前になりつつあるのです。
このような背景から、美容クリニックが新規来店数を増やしたり、リピーターを獲得したりするためにはオムニチャネル戦略の考え方が不可欠です。
今回は、美容クリニックにおけるオムニチャネル戦略の具体的な取り組みとその効果、そして実践におけるポイントについて見ていきましょう。
INDEX
オフラインとオンラインの連携は、美容クリニックにおけるオムニチャネル戦略の中で重要なポイントとなります。
患者さんはクリニックの情報をWebやSNSで簡単に調べることができ、来店したいと思えばすぐにアプリから予約ができる、そして何度も個人情報や要望を入力しなくても、来店したらすでにその情報は共有されている…
患者さんにストレスを与えることなく、少ない行動で一貫した体験をしてもらうことは、患者さんの利便性を高めると同時に、クリニックへの信頼と満足度も向上させます。
次はその主な取り組みの例です。
クリニックのWebサイトは、検索エンジンで初めて知る方だけでなく、すでに名前はご存知の患者さんが、クリニックのことをより深く知りたいと思った時に訪れるページにもなります。
ここで提供する情報、画像、動画などが、実際のサービスやイメージと大きく違うようなことがあると、クリニックの信頼を損ないかねません。
事前情報と実際に店舗で体験する内容に、できる限り乖離がないように努めることがポイントです。
オンラインでの予約システムを導入することで、患者さんは自分の都合に合わせてかんたんに予約ができるようになります。予約の方法はできるだけ簡単に、いつでも確定できることがベストです。
例えば夜寝る前にクリニックを探している患者さんがいるとしましょう。
その時に、①予約の受付が営業時間内の電話のみ、②予約メールを送り返信を待ってからの確定、③空き時間が分かる状態ですぐに予約できるシステムの3パターンがあった場合に、どの方法を選択すると思いますか?
すでに施術を受けたい気持ちが固まっていれば、すぐに日程が確定する③の方法が、患者さんにとって一番親切な方法となるでしょう。
中には電話で質問をしてから予約をしたいという方もおられますので、必ずしもその他の方法が悪いというわけではありません。
忙しく、複数の選択肢を比較するのが当たり前になった現代人にとって、「今、予約したい」という要望がある場合に、簡単に予約が確定する他のクリニックを選ぶ可能性があることも意識しておく必要があります。
もちろん、クリニックの方針や施術内容により確認事項を経ての予約が必要なケースもありますので、可能な範囲で患者さんに寄り添った対応を検討していきましょう。
SNSは、カジュアルにクリニックのことや施術内容、スタッフについて知ってもらえる便利なツールです。
キャンペーン情報や新しい施術の紹介など、オンラインでの情報発信とオフラインでのサービス提供を連携させることで、今まで届かなかったユーザーにもクリニックを知ってもらい、利用のきっかけにもつながります。
また、使い方次第では患者さんとのコミュニケーションの場となり、リアルな声を収集する手段としても有効です。
WebサイトとSNS、メッセージアプリの統合は、美容クリニックのオムニチャネル戦略において、患者さんとのコミュニケーションを多角的に展開する強力な手段となり得ます。
日本人の多くが利用しているメッセージアプリの代表的なもののひとつに「LINE」が挙げられます。
個人同士がメッセージのやりとりに利用する以外に、「LINE公式アカウント」というものがあります。こちらは企業や店舗から登録者へ直接情報を届けることができるサービスです。
多くの日本人が、日頃からチェックする習慣があるメッセージアプリが使えるということで、多くの企業や店舗などで利用されるようになってきました。
「LINE公式アカウント」では、企業や店舗からお知らせやキャンペーン情報を届けるだけでなく、双方でメッセージのやり取りもできることも特徴です。
LINE予約などの機能もあり、患者さんが気軽に質問をしたり予約ができたりするので、利用者側のメリットが大きく、導入するクリニックも増えてきています。
オンラインでの患者さんの行動データを分析し、それをオフラインのサービスに反映させることで、よりパーソナライズされた体験を提供できます。
例えばWebサイトでよく閲覧されていたページや施術に基づいて、個別のフォローアップや提案をするようなこともできるようになるのです。
個々の患者さんのデータだけでなく、SNSで反応の強かった施術でキャンペーンを実施する、よくある質問で見られる回数の多い内容を、Webサイトのよく見える位置に掲載し、患者さんの疑問点を先回りして対策しておくことなども、できるようになります。
患者さんが必要とする情報を適切なタイミングで提供することで、クリニックへの来店促進を図れるようになるのです。
新規患者やリピーター獲得への効果的な施策、見込み客の離脱を防ぐ対策など、複合的に取り組むことでクリニック全体の発展へと繋がっていきます。
美容クリニックのオムニチャネル戦略は、オフラインとオンラインの融合によって、患者さんとのコミュニケーションを強化し、サービスの一貫性と利便性を高める重要な手法となります。
この戦略によって、患者さんと接触するチャネルごとに、体験の価値を最大限に高めることが重要です。
最終的にはクリニックのブランド認知を高め、患者さんのロイヤルティを向上させ、ビジネスの成長を促進する強力な手段となるでしょう。
美容クリニックが今後の競争を勝ち抜くためには、オフラインとオンラインの境界を超えた統合されたアプローチが不可欠であり、その実践と最適化が求められる時代になりつつあります。
そして、この取り組みを成功させるためには、ツールの導入や技術、知識面の強化だけでなく、クリニック全体での理解と実践する体制が求められることとなります。
ホームページ制作に関するご要望やお⾒積りなど、お気軽にお問い合わせください。
ヘルスケアWebでは、ライバル調査などの結果を踏まえ、
お客様のホームページの⽬的に沿ったプランをご⽤意させていただきます。