近年、ビューティー＆パーソナルケア業界は急速な変化を遂げています。
この業界のトレンドは、消費者のライフスタイルや価値観の変化、テクノロジーの進化、そして環境への関心の高まりなど、多岐にわたる要因が影響し合い形成されています。
そして各要因の変化は、製品の開発からマーケティング戦略まで、業界全体のアプローチを変えるほどの影響を持っています。

今回は、ここ数年のビューティー＆パーソナルケア業界の注目すべきトレンドについて見ていきましょう。

注目トレンド5選

クリーンビューティーの台頭

ここ数年、消費者の間で「クリーンビューティー」という言葉が注目されているのはご存知でしょうか。

クリーンビューティーとは、製品の成分、製造過程、包装、供給チェーンなど、製品のライフサイクル全体における透明性や安全性、持続可能性を重視する考え方を取り入れた製品のことを指します。

消費者の製品に対する安全性や環境への関心は年々高まり、クリーンビューティー製品への需要は拡大傾向にあると言えるでしょう。

日本のビューティー市場も例外ではなく、市場の動きに敏感なブランドはこのトレンドに対応し、製品ラインナップを拡大する動きを見せています。

クリーンビューティーは、ブランドの価値観や哲学にも関心を持つ現代の消費者のニーズに応えるものとして、ブランドの信頼性や競争力を高める要因となっていくことでしょう。

テクノロジーとの融合

ビューティー＆パーソナルケア業界とテクノロジーの融合は、これからの市場を大きく変える要因として注目されています。
AR技術やAIを活用したサービスが増えており、消費者はよりパーソナライズされたショッピング体験が可能になりました。

日本のビューティー業界もこの波に乗り、以下のような革新的なサービスを提供し始めています。

個別の肌質や好みに合わせた製品の提案

AIや機械学習を活用して、消費者の過去の購入履歴やブラウジング履歴、さらには肌のタイプや好みを分析し、それに合わせた製品を提案。

バーチャルトライオン

AR技術を使用して、実際に製品を試すことなく、どのように見えるかをシミュレートする。
化粧品をバーチャルで試すことができる、自分の顔の写真を取り込み、やってみたい髪型を合成画像で確認できるなど。

リアルタイムのフィードバック

オンラインショッピング中に、AIアシスタントがリアルタイムで質問に答えたり、製品の提案をしたりする。

サブスクリプションモデル

消費者の好みやニーズに合わせて、定期的に製品を自宅に届けるサービス。これにより、消費者は常に最適な製品を手に入れることができる。

ウェアラブル技術の活用

スキンケアやフィットネス関連の製品で、消費者の健康や肌の状態をリアルタイムでモニタリングし、それに基づいた製品の提案やアドバイスをする。

インタラクティブなコンテンツ

オンライン上でのショッピング体験を豊かにするためのインタラクティブなコンテンツやゲーム、クイズなど。
これにより、消費者は製品やブランドに深く関与することができる。

ダイバーシティとインクルージョン

多様性（ダイバーシティ）と包括性（インクルージョン）を重視する動きは世界で見られ、近年では日本のビューティー業界にも浸透してきました。

特に様々な肌の色や性別、年齢に対応した製品展開が進められてきており、多様な消費者のニーズに応えることで市場の拡大が期待されています。

以下のような視点が、今後のビューティー＆パーソナルケア業界において、重要な要素となっていくでしょう。

製品の多様性

多様な肌色や肌質に合わせた製品の提供。異なる髪のタイプやテクスチャー（ストレート、ウェーブ、カーリー、コイリーなど）に対応した製品の展開。

広告キャンペーン

さまざまな年齢、人種、性別、体型、障害を持つ人々をモデルとして採用し、多様性を祝う広告キャンペーンを実施。

文化的な配慮

異なる文化や宗教の祭りや伝統に合わせた製品の展開やプロモーション。

ジェンダーの多様性

男性専用のスキンケア製品やメイクアップ製品、トランスジェンダーやノンバイナリの人々のための製品やサービスの提供。

アクセシビリティの向上

視覚や聴覚に障害を持つ人々のための製品パッケージやウェブサイトのデザイン。製品の説明や使用方法をブライユや手話で提供。

サステナビリティへの取り組み

環境問題への関心の高まりを受け、日本のビューティー＆パーソナルケア業界もサステナビリティは重要なキーワードとなっています。
消費者は単に製品の効果や品質だけでなく、その製品が環境や社会に与える影響にも関心を持つようになってきました。

そのような流れから、多くのブランドや企業はサステナビリティを経営の中心に位置づけ、具体的な取り組みを進めています。

例えば、リサイクル可能な素材を使用したパッケージを導入し、持続可能な美容を推進することや、自社のカーボンフットプリントを削減するという目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入や廃棄物の削減などの取り組みなどが挙げられます。

さらに、サステナビリティへの取り組みとして製品そのものに及んだケースも出てきました。

化学物質や合成成分を避け、天然由来の成分を使用した製品や、動物実験を行わない製品など、エシカルな製品開発を行う企業も増えつつあります。

このように、サステナビリティへの取り組みは、ビューティー＆パーソナルケア業界においても消費者が商品を選択する際の一因となってきています。

ブランドや企業が環境や社会に対する責任を果たすことで、消費者の信頼を得るとともに、持続可能な成長を実現することが期待されるのです

メンズビューティー市場の拡大

近年のビューティー&パーソナルケア業界は、男性向けの製品とサービスの需要の増加を目の当たりにしています。
特に、メンズビューティー市場は急速に成長しており、これは男性が自分自身の外見やスキンケアに対する意識が高まっていることを示していると言えるでしょう。

男性用のスキンケア製品やヘアケア製品、中でもエイジングケアや日焼け止め、保湿クリームなどの基本的なスキンケア製品の需要が高まっています。

また、ケア用品だけでなく、日本をはじめとする多くの国々で、若い男性がメイクアップをすることが一般的になりつつあります。
男性がファンデーションやアイブロウペンシル、リップクリームなどの基本的なメイクアップ製品を使用する姿が増えてきました。
自分の肌の悩みをカバーしたり、自分の好みの外見を演出したりするための手段として、男性もメイクアップを取り入れるようになってきたのです。

このような背景から、多くのブランドや企業が男性向けの新製品を開発・発売しており、メンズビューティー市場は今後もさらなる成長が期待されています。

おわりに

今回は今注目すべき、ビューティー＆パーソナルケア業界のトレンドを見てきました。
業界のプロフェッショナルや関心を持つ消費者にとって、業界の未来を形成する鍵となるこれらのトレンドを理解し、流れに乗ることが求められます。
特に今は変化の激しい時代であり、業界の動向を継続的に追っていくことが重要です。
新しい情報や技術、消費者のニーズが日々進化している中、適切な知識と対応が求められる時代にわたしたちは立たされているのです。