自分の外見を良くしたい、より健康的になりたいという願望を叶えるために、美容クリニックでの治療やエステサロンでの施術を積極的に取り入れる人が増え、こういった傾向は広く浸透してきているように思えます。
日常の美容ケアの一部として、気軽に受けるという方もいることでしょう。
みなさんは、今回焦点を当てる、主に美容クリニックの施術として行われている「HIFU(High-Intensity Focused Ultrasound)」はご存知でしょうか?
❝HIFU(ハイフ)とは、超音波を、レンズで焦点を合わせるように、皮膚表面から数ミリ深い場所に集中して照射することで、その部分を高度に加熱するもので、本来前立腺がんの治療等に使用される技術。
美容で用いられるものは、その技術を転用したものです。❞
(引用元)
▶消費者庁リーフレット エステサロン等でのHIFU施術にはリスクがあります
美容目的の施術としては、たるみケアやシワへのアプローチ方法として知られています。
美容効果を期待して施術が広まる一方で、施術の安全性や法的な背景についての疑問や懸念が浮上してきました。
特に日本では、エステサロンでのHIFU施術が医療行為に該当するのではないかという議論がなされています。
今回は、HIFU施術の現状、安全性への懸念、そして法的な背景や厚生労働省の見解などについて解説していきます。
HIFU施術を受ける前の方や、エステサロンを運営する方々にとって、現状を知るきっかけになれば幸いです。
HIFUは、皮下組織を高温に加熱する施術です。
そのため、施術にはリスクがあることを知っておく必要があります。
具体的にどのような事例があるのか、見ていきましょう。
HIFU施術は、高強度の超音波を使用して皮膚の深部に熱を発生させます。この熱の影響で、施術部位にやけどや炎症を引き起こす恐れがあるとの指摘があります。
目の近くの施術で急性白内障になったケースも報告されています。
施術者の技術や経験によっては、熱を均一に当てることが難しく、部分的に過度な熱を受けるリスクが考えられます。これにより、皮膚の不均一なダメージや、期待した効果を得られない場合があるとされています。
HIFUは皮膚の深部まで熱を伝えるため、皮膚だけでなく深部の組織にも影響を及ぼす可能性があるとの懸念が出ています。特に、神経や血管などの重要な組織が熱の影響を受けると、後遺症や合併症のリスクが高まる可能性が考えられます。
気軽に施術を受ける人が増える一方で、こういった事例も報告されるようになってきているのです。
このような背景を受け、消費者庁安全調査委員会ではエステサロン等によるHIFU施術の実態や事故情報についての調査に乗り出しました。
(参照元)
▶消費者庁リーフレット エステサロン等でのHIFU施術にはリスクがあります
▶消費者庁 消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書-エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故-(本文)
▶消費者庁 消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書-エステサロン等でのHIFU(ハイフ)による事故-(概要)
HIFU施術は、美容クリニックやエステサロンでの美容施術として人気を集めていますが、その安全性や法的側面について、消費者庁や厚生労働省から見解が出されています。
消費者庁が出した意見書によれば、エステサロン等でのHIFU施術に関して、次の点が指摘されています。
(参照元)
▶消費者庁 消費者安全法第33条の規定に基づく意見
また、厚生労働省の通知からは、HIFU機器は医療機器と捉えていることがわかります。
そして2023年3月31日時点において、美容目的と称した医療機器として承認されたHIFU機器はないとのことです。
❝医療機器として規制されるべきものが、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年法律第 145 号。以下「法」という。)第 23 条の2の5に基づく必要な承認を得ないまま、輸入若しくは製造され、又は販売若しくは授与されている実態が推定される旨報告されており、消費者安全調査委員会から厚生労働省に対して、不適切な機器流通への監視強化が求められているところです。❞
(引用元)
▶厚生労働省 HIFUに関する監視指導の徹底について
つまり、HIFUは本来医療機器として規制されるべきものとし、不適切な機器流通への監視強化を求めた内容となります。
上記の指摘を受け、エステティック業界団体やエステサロンは、HIFU施術の安全性や法的側面についての情報提供や注意喚起を行う必要性を求められています。
HIFU施術の安全性や法的側面に関する懸念が高まる中、厚生労働省もこの問題に対して動きを見せています。
厚生労働省は、HIFU施術に関する事故やトラブルが増加していることを受け、各都道府県に対して「HIFUに関する監視指導の徹底について」という通知を出しました。
通知の中には、次のような記載があります。
❝HIFU 機器に関して、美容目的と称して医療機器として規制されるべき HIFU 機器が流通しないよう、貴管内関係業者、関係団体等に周知いただくとともに、法に基づく監視指導の一層の徹底を図るよう御留意願います。なお、令和5年3月 31 日時点においては、美容目的で使用されるために我が国において承認された HIFU 機器は存在しません。❞
(引用元)
▶厚生労働省 HIFUに関する監視指導の徹底について
この厚生労働省の通知を受けて、エステティック業界団体や自治体でも動きがありました。
主な対応としては、HIFU施術に関する情報提供や注意喚起、施術の中止や見直しを求めるような内容です。
特に、日本エステティック業協会(JESTA)は、HIFU施術に関する情報提供や注意喚起を行うとともに、会員施設に対しては施術の中止を求める通知を出しています。
また、一部の自治体では、エステサロンや美容クリニックに対して、HIFU施術の安全性や法的側面に関する情報提供を行っているところもあります。
このような事態でもエステサロンではなお、HIFUをメニューに取り入れているところも見受けられますが、業界団体に加入していないサロンも多く、通知が行き届いていないことが考えられます。
(参照元)
▶日本エステティック協会 HIFU に関する監視指導の徹底について周知依頼がありました(厚生労働省)
▶日本エステティック振興協議会 高密度焦点式超音波( HIFU )による施術の即時中止のお願い
国や自治体が動いていることに加え、日本エステティック業協会(JESTA)が施術の中止を求めていることからも、この問題がどれだけ問題視されているかがうかがえるでしょう。
そういったことも踏まえ、エステサロンでは今後どのような対応を取るべきでしょうか。
厚生労働省や消費者庁、業界団体からの最新の通知や情報を確認し、常に最新の情報をもとにサービス内容を見直すことが求められます。
HIFU施術の安全性や法的問題が指摘されている現状を踏まえ、施術の提供を一時的に中止するか、法的に問題のない方法での施術を検討することが必要です。
これまでHIFU施術を受けた方や、今後施術を希望するお客さまに対して、現状の情報や対応策を明確に伝えることが求められます。
また、利用者自身も施術を受ける前に、エステサロンや美容クリニックが提供する情報だけでなく、公的機関や業界団体の情報も確認し、施術の安全性や法的問題について十分に理解することが重要となります。
そして、HIFU施術のリスクを理解した上で、他の施術方法と比較し、自身の状況やニーズに合った施術を選択することが求められます。
HIFU施術は、美容クリニックやエステサロンでの美容施術として人気を集めていますが、その安全性や法的側面について、消費者庁や厚生労働省から見解が出されました。
厚生労働省や消費者庁は、HIFU施術に関する監視指導の徹底を求めており、エステティック協会などの業界団体も施術の中止や見直しを求める動きを見せています。
エステサロンや美容クリニック、そして施術を受ける利用者自身も、最新の情報を確認し、適切な対応を取ることが求められているのです。
HIFU施術に関する情報や動向は、今後も変わっていく可能性があります。
そして、HIFUに限らず、美容施術を受ける際は、常に自身の健康や安全を最優先に考え、適切な判断を下すよう心がけましょう。
※本記事は各所から出された通知や文章を元に作成したコラムであり、必ずしも正しい解釈であるとは限りません。より正確な情報を得たい方は、参照元をご覧いただき、ご自身で判断していただくようにお願いします。
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