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業界では常識?化粧品の効能で「言えること」と「言えないこと」

2023.10.23 #化粧品 #薬機法

化粧品を手に取ると、パッケージにはさまざまな言葉が書かれています。
「しっとり」「うるおい」「ハリ」etc…。これらの言葉は、私たちにその商品の効果や特徴を伝えるためのもの。
しかし、実はこれらの言葉には「言ってはいけないこと」や「伝えてよい範囲」が法律で定められているのをご存知でしょうか?

日本では「薬機法」という法律が、化粧品の効果をどのように伝えるかのガイドラインを提供しています。
この法律は、消費者が誤った情報に基づいて商品を選ばないように、そして企業が適切な情報を提供するためのものです。

今回は、化粧品の効果・効能の「言える・言えない」の背景にある「薬機法」の基本から具体的な表現事例までを紹介していきます。

化粧品の歴史と効能表現の変化

化粧品の歴史は古く、古代エジプトや古代ローマ時代から人々は美を追求してきました。
しかし、現代のように「効果」を強調する広告やパッケージは比較的新しい時代のもので、20世紀以降と言われています。

20世紀初頭、化粧品業界が急速に成長する中、多くの商品が「奇跡の効果」や「即効性」を謳って市場に出されましたが、これらの主張は科学的根拠に基づいていないことが多かったようです。

日本では当初の形からさまざまな変更がありつつ、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に関する法律として、1960年に「薬事法」が施行されました。
ここで化粧品の広告や表示に関する基準が設けられることになるのです。

そして2011年、「化粧品の効能の範囲の改正について」により、化粧品および医薬部外品の効能を伝える際の「言える・言えない」が明確になりました。

近年では、科学技術の進歩に伴い、化粧品の成分や効果に関する研究が進められています。
その結果、以前よりも具体的な効果を伝えることができるようになった一方、誇大広告や誤解を招く表現を避けるためのガイドラインもより厳格になってきました。

薬事法は2014年の法改正に伴い、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、通称「薬機法」に名称が変更されました。

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現行の化粧品の効能の範囲

現代の化粧品は、その効能や使用目的に応じて、大きく「一般化粧品」と「医薬部外品」という2つのカテゴリに分けられます。

これは、薬機法によって定められており、それぞれのカテゴリには異なる効能が許可されています。

一般化粧品

肌の清潔さを保つ、香りを楽しむ、メイクアップのための化粧品など、日常的に使用する基本的な製品を指します。
効能としては、肌を清潔に保つ、肌の乾燥を防ぐ、香りをつけるなどの基本的なものが許可されています。

医薬部外品

特定の効能や効果を謳った化粧品で、例えば「シミ・そばかすを防ぐ」「ニキビを防ぐ」「肌荒れに効く」などの効果が期待される製品を指します。
これらの製品は、一般化粧品よりも厳しい基準で評価され、その効能や安全性が確認されたものだけが市場に出ることが許可されています。

 

誇大広告や偽の効能を謳った製品は、消費者を誤解に導く恐れがあるため、厳しく制限されています。

現行の薬機法では、化粧品の広告やラベルには、その製品の真実に基づいた正確な情報を表示することが求められているのです。

一般化粧品で使用可能な効能の範囲

一般の化粧品においては、明確に表示できる効能効果の範囲が、薬機法の広告基準に基づいて定められています。
広告内容がこの範囲を超える場合、薬機法に違反する可能性があるため、注意が必要です。

化粧品の効能で使用可能な効果表現56項目

(1) 頭皮、毛髪を清浄にする。
(2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4) 毛髪にはり、こしを与える。
(5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7) 毛髪をしなやかにする。
(8) クシどおりをよくする。
(9) 毛髪のつやを保つ。
(10) 毛髪につやを与える。
(11) フケ、カユミがとれる。
(12) フケ、カユミを抑える。
(13) 毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14) 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15) 髪型を整え、保持する。
(16) 毛髪の帯電を防止する。
(17) (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18) (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19) 肌を整える。
(20) 肌のキメを整える。
(21) 皮膚をすこやかに保つ。
(22) 肌荒れを防ぐ。
(23) 肌をひきしめる。
(24) 皮膚にうるおいを与える。
(25) 皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26) 皮膚の柔軟性を保つ。
(27) 皮膚を保護する。
(28) 皮膚の乾燥を防ぐ。
(29) 肌を柔らげる。
(30) 肌にはりを与える。
(31) 肌にツヤを与える。
(32) 肌を滑らかにする。
(33) ひげを剃りやすくする。
(34) ひげそり後の肌を整える。
(35) あせもを防ぐ(打粉)。
(36) 日やけを防ぐ。
(37) 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38) 芳香を与える。
(39) 爪を保護する。
(40) 爪をすこやかに保つ。
(41) 爪にうるおいを与える。
(42) 口唇の荒れを防ぐ。
(43) 口唇のキメを整える。
(44) 口唇にうるおいを与える。
(45) 口唇をすこやかにする。
(46) 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47) 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48) 口唇を滑らかにする。
(49) ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50) 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51) 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52) 口中を浄化する(歯みがき類)。
(53) 口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54) 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55) 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56) 乾燥による小ジワを目立たなくする。

注1) 例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2) 「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3) ( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。

引用:厚生労働省:化粧品の効能の範囲の改正について

※ここでは薬用化粧品や医薬部外品を除きます。

 

化粧品で注意すべき広告表現

化粧品の広告や表示においては、先に上げた表現可能な範囲を守りつつ、以下の点についても注意が必要です。

その具体的な例を見ていきましょう。

※ここでは医薬部外品を除く一般化粧品について言及しています。

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禁止されている効能の表現

病気の治療や予防

「シミを治す」「アトピーの予防」「ニキビを根絶する」などの表現は禁止されています。

体の構造や機能に対する効果

「コラーゲン生成を促進」「毛穴を縮小」「肌の再生をサポート」などの表現は化粧品としては使用できません。

注意が必要な表示

特定の効果や効能の強調

「シワを7日でなくす」「肌の老化を逆行させる」「10歳若返る」などの表現は、具体的な根拠がない限り使用すべきではありません。

誇大な表現

「究極の美白」「即効性がある」「全ての肌トラブルを解決」などの誇大な表現は避けるべきです。

成分や使用方法

製品に含まれる成分やその特性、推奨される使用方法について、明確かつ正確に表示することが重要です。(薬ではないので、使用頻度を指定することは避けましょう。)
例:「アロエベラエキス配合で保湿効果」「朝と夜のスキンケアの際に使用推奨」「清潔な肌にやさしく塗布してください」など。

注意事項

製品使用時の注意事項や、特定の成分に対するアレルギー情報などを明示することが重要。
例:「敏感肌の方はパッチテストを推奨」「ナッツアレルギーの方は使用を避けてください」「直射日光を避け、冷暗所に保管してください」など。

 

こういった表現に関しては、適切ではないと判断されたものに対して都道府県や関連団体からの指導や注意が行われることもあります。

広告や表示を作成する際には、薬機法や関連ガイドラインを十分に理解し、適切な表現を心がけることが求められているのです。

化粧品広告の効果的な活用方法

効果・効能の訴求以外にも、化粧品の魅力を伝える手段はあるはずです。

薬機法の規定を遵守しつつ、次のような視点も取り入れ、効果的な広告について考えてみましょう。

ストーリーテリングを活用する

製品の背景や成分の由来など、ストーリーを通じて消費者の感情に訴えかけることで、製品への興味や信頼を高めることができます。

ビジュアルを魅力的にする

高品質の写真や動画を使用して、製品のテクスチャーや使用感を伝えることで、消費者の購買意欲を刺激します。

クリアな情報提供

製品の主要成分や使用方法を明確に表示し、消費者が製品を正しく理解しやすくします。

口コミやレビューを活用

他のユーザーの実際の使用感や効果を共有することで、新しい顧客の信頼を獲得することができます。

限定キャンペーンやプロモーション

期間限定のキャンペーンや特別なプロモーションを行うことで、消費者の購買意欲を高めることができます。

教育的なコンテンツを提供

製品の成分や使用方法に関する啓蒙・教育的なコンテンツを提供することで、消費者の製品に対する理解を深め、長期的な信頼関係を築くことができます。

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まとめ

化粧品の広告や表示は、時代とともに変化してきました。
古代から現代にかけて、化粧品の効能に対する認識や期待は大きく変わり、現代では科学的根拠に基づく明確な効能表示が求められています。

薬機法によって定められたガイドラインは、消費者を誤解や偽情報から守るためのものであり、病気の治療や予防をうたう表現は禁止されています。また、誇大な表現や誤解を招く可能性のある表現も避ける必要があります。

化粧品業界は日々進化しています。
新しい技術やトレンドが登場する中で、常に最新の情報を取り入れ、適切な広告戦略を考えることが求められていくでしょう。

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