日本での近年における美意識の高まりは、美容大国とも言われる韓国の影響が色濃く反映されています。
韓国では美容が一種のライフスタイルとなっており、そのトレンドは日本にも大きな影響を与えていることでしょう。
InstagramやYouTube、TikTokなどを通じて、韓国をはじめとする海外の美容情報を得やすくなったことに加え、日本でも多くのインフルエンサーや一般人が気軽に美容情報を発信し、シェアする文化が芽生えました。
このトレンドに、美容施術を提供するクリニック側も動きを見せています。
クリニック自身が美容に関する情報の発信、施術の紹介などを行うようになり、多くの人が専門性が高く、リアリティのある情報に触れる機会が増えているのです。
このような美容施術に関する情報は、医療従事者からの情報発信ということで信頼性が高いものである一方で、残念ながら提供される情報が限定的で、見る側に誤認を与える恐れがあるものも存在します。
医療機関の公告等に関する指針である医療広告ガイドラインは、公告やホームページにおいて遵守すべきものとして周知されています。
その中では、個人や第三者のSNSで、施術を受けた体験談を発信することは公告に当たらない(医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合)とされています。
しかし、医療機関公式アカウントのSNSが広告に当たるかどうかという点については、様々な見解があります。
医療広告ガイドラインの中でも、禁止事項の例に一部SNSでの表現に触れているものもあり、SNSも広告とみなされる恐れが十分にあるのです。
規制や監視の目が今後厳しくなることを考え、SNSの投稿についても適切な対応をしていくことが望ましいと言えるでしょう。
今回は、現行の医療広告ガイドラインにおいて禁止されている美容クリニックでの広告表現について、禁止事項を10個ご紹介します。
現在の運用を見直したり、今後の方針について検討するきっかけになれば幸いです。
INDEX
治療のリスクなどに触れず、「必ず成功」「絶対に安全」などといった表現は虚偽広告とみなされ、禁止されています。
また、治療後に定期的な処置が必要であるにも関わらず、「たったの◯分で完了」「1日ですべての治療が終了」などと記載することも実態と異なるため、虚偽とみなされます。
「改善率◯%」「手術の成功率◯%」など、数値によるPRを行う場合には、必ずデータの根拠(具体的な調査方法等)を明確にする必要があります。
また、患者満足度については、調査を実施していることやその結果を提供していることについては触れることができますが、調査の結果そのものについては公告が認められていないことにも留意が必要です。
施術の前後の写真を掲載する時に、あたかも効果があるように写真を加工したり、修正したりすることは虚偽広告とみなされます。
また、実際に施術を受けていない人の写真を使用し、治療の成果のように見えるイメージを作成することも禁止です。
「最高」「日本一」「エリアNo.1」などの最上級の表現や、優秀性については、客観的な事実であったとしても禁止される表現となっていますので、注意しましょう。
他院の施術費用と比較し、自院が価格面で優れている(安くできる)と見せること、不特定の他の医療機関と比較した場合でも「日本一の実績」「県内でも有数の治療実績」など、他よりも優れていると見せることは比較優良公告にあたります。
また、他の医療機関を誹謗することで、自院が優れていると誤解を与えるような表現も行ってはいけません。
著名人との関連性を強調することは、患者等に対して他院よりも著しく優れているとの誤解を与える表現とみなされ、比較優良公告にあたるとされています。
著名人が患者であること、来院したことを紹介することなどがこれに当たります。
提供する医療の内容を、虚偽ではなかったとしても、不当に誇張することで誤認させる表現は誇大広告となります。
一般の方が公告から受ける印象や期待感と、実際の内容に相違があるものは人を誤認させる恐れがあるとみなされます。
例えば脱毛クリニックで「無制限」「し放題」などと謳いながらも、実際には毛周期などの関係で次の施術までに一定期間あける必要があり、実質的に制限がある場合などがこれにあたります。
また、「最適な治療」「最先端の医療」なども誇張表現となるため、注意が必要です。
手術の総実績件数のみの掲載は医療広告ガイドラインでは不十分とされ、当該手術件数に係る期間や手術の内訳を併記する必要があります。
また、対象期間が◯年〜◯年など長期にわたる場合、現在提供されている医療の内容について誤認させる恐れがあるものは誇大広告に該当することも。
例えば年度ごとに手術の種類により集計した件数を掲載するなど、誤認を与えない内容にしておくと良いでしょう。
医療広告ガイドラインでは、医療機関への誘引を目的として、患者さんやその家族などからの伝聞による体験談を掲載してはならないとしています。
こういったものは、主観的な内容となり、患者さんの状態などにより感じ方が異なるものなので、見る側に誤認を与える恐れがあるためです。
患者さん自身でなくとも、医療機関のスタッフの体験談も同様に規制の対象となります。
ビフォーアフター写真の掲載に必要な情報が十分に記載されておらず、治療等の内容又は効果について、患者さんなどに誤認させる恐れがあるものについては、ホームページに掲載することができません。
一方で、詳細な説明を併記した場合についてはこれに当たらないとされており、適切な情報を掲載することで回避できます。
ビフォーアフター写真の掲載に必要な詳細は次のようなものがあります。
いかがでしたでしょうか?
日頃から自身が目にしている情報が、必ずしもルールを守っているものではないと認識し、ルールの把握に努めることを心がけましょう。
(参考・引用)
医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第3版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001153837.pdf
医療広告ガイドラインに関するQ&A
https://www.mhlw.go.jp/content/000371812.pdf
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