暑い季節になると、多くの人々が汗とその不快なにおいに悩まされます。
そんな時、頼りになるのが制汗剤(デオドラント)です。
制汗剤は汗の分泌を抑えたり、においを防ぐことで、日常生活を快適に過ごすための定番アイテムとして、男女問わず夏の必需品になっていることでしょう。
制汗剤には様々な成分が含まれており、公告やホームページなどで紹介される際には適切な情報が提供される必要があります。
一般的には化粧品や医薬部外品の分類に当たる制汗剤は、薬機法や景品表示法などを遵守しなければなりません。
今回は、制汗剤の種類や成分に加え、これらの法律がどのように制汗剤に適用されるかを探っていきましょう。
化粧品や医薬部外品に関する法律とその影響を理解することで、今までとは違った視点で製品選びに役立てていただければと思います。
INDEX
ひとえに制汗剤と言っても、様々なタイプのものが存在します。
どのような種類があるのか見ていきましょう。
噴霧することで広範囲に一度に塗布ができます。速乾性があり、さっぱりとした使用感が特徴。外出前や運動後に手軽に使用できます。
ローラーを転がすことで液体を塗布するタイプ。肌に直接塗るため、効果が持続しやすいのが特徴。朝の身支度時や、お風呂上がりにじっくり使用するのに適しています。
固形のスティックを直接肌に塗るタイプ。クリーム状で、しっかりと塗布できます。持ち運びに便利なので、日中リフレッシュしたい時に使用しやすいです。
クリームを手に取って塗るタイプで、保湿効果があり、肌に優しいのが特徴。夜のケアや、乾燥が気になる時期に適しています。
制汗剤によく使用される主な成分として、次のようなものがあります。
作用:汗腺を一時的に閉塞することで、汗の分泌を抑える。
例:塩化アルミニウム、アルミニウムジルコニウム。
注意点:敏感肌の人は刺激を感じることがあるため、使用前にパッチテストを推奨。
作用:汗を吸収し、においの原因となる菌の繁殖を抑える。
例:ナノシルバーパウダー、ナノチタンパウダー。
注意点:ナノ粒子の安全性については議論があるため、使用量に注意。
作用:汗のにおいをマスキングし、良い香りを提供する。
例:ラベンダーオイル、ティーツリーオイル。
注意点:アレルギーを引き起こす可能性があるため、成分表示を確認。
抗菌剤:汗のにおいを抑えるための殺菌作用を持つ成分(例: クロルヘキシジン)。
保湿剤:肌を保護し、乾燥を防ぐ成分(例: グリセリン、ヒアルロン酸)。
制汗剤は、私たちの日常生活にすでに浸透している製品ですが、その製造や販売においては厳格な規制が設けられています。
その規制の元となっているのが薬機法です。
ここでは薬機法がどのように制汗剤に適応されているのかを見ていきましょう。
薬機法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、および医療機器の製造・販売・流通を規制する法律です。
この法律は、製品の安全性、有効性、および品質を確保することを目的としています。
制汗剤は、この薬機法の下で「医薬部外品」または「化粧品」として分類されます。
定義:医薬品と化粧品の中間に位置し、一定の有効成分が含まれている製品。
例) 汗を抑える効果が認められている制汗剤
表示義務:効果・効能を表示できるが、事前に厚生労働省の承認が必要。
表示例)「汗を抑える」、「においを防ぐ」
定義:身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚・毛髪を健やかに保つための製品。
例)香りを楽しむ目的のフレグランススプレー
表示義務:効果・効能を表示することはできないが、品質・安全性についての表示は求められる。
表示例)「爽やかな香り」
薬機法において、制汗剤の効果効能を表示するためには厳しい規制が設けられています。
具体的には、以下のポイントに注意が必要です。
表示される効果・効能には、科学的な根拠、つまりは製品が本当にその効果を持つことを示すデータが必要です。
例)「汗を抑える」効果を表示する場合、臨床試験や実験データが求められます。
医薬部外品としての効果効能を表示するためには、厚生労働省の事前承認が必要です。
これには申請書類の提出と審査が含まれます。
例)新しい制汗成分を使用する場合、その成分の安全性と効果を証明するための資料を提出する必要があります。
効果効能の表示において、誇張や虚偽の表現は禁止されています。
正確な情報を提供することが求められます。
例)「永久に汗を止める」などの誇大な表現は不可。
医薬部外品としての制汗剤は、製造販売承認を取得する必要があります。
これには、製品の成分、製造方法、安全性、有効性に関するデータの提出が含まれます。
また、製造業者と販売業者は、それぞれの業態に応じた許可を取得する必要があることも覚えておきましょう。
これにより、適正な品質管理が保証されているのです。
制汗剤を公告やホームページで詳細する際には、薬機法とともに景品表示法の規制も注意すべき大事なポイントとなります。
景品表示法は、消費者に対する誤認を防止し、公正な取引を維持することを目的としています。
景品表示法が制汗剤にどのように適用されるかを見ていきましょう。
景品表示法は、不当な表示や過大な景品提供を規制することで、消費者を保護し、公正な競争を促進することを目的とした法律です。
この法律は、商品やサービスの表示が適切であること、景品が過度に消費者を引き付けるものでないことを確保するために設けられています。
制汗剤の広告においては、効果効能を正確に伝えることが重要ですが、景品表示法に基づいても適切な表示を行うことが求められます。
以下に具体的な注意点を見ていきましょう。
効果効能を謳う場合、必ず科学的根拠を提示することが必要です。
例えば 「汗を97%抑制する」といった具体的な数値を使用する場合、その根拠となる試験データを明示しなければなりません。
誇張や曖昧な表現を避け、消費者が誤解しないように注意しましょう。
「医師も推奨」といった表現を使用する場合、その裏付けとなる事実を明示する必要があります。
キャンペーンやプロモーションに関する情報は、消費者に対して明確に伝えなければいけません。
「先着100名様限定」といった条件を明示し、消費者が正確に理解できるようにしましょう。
薬機法と景品表示法を踏まえた上で、消費者が制汗剤を選ぶ際に注意すべきポイントを見ていきましょう。
制汗剤を選ぶ際、まず注目すべきは製品の成分表示と効果効能の表示です。
これらを確認することで、製品が実際にどのような効果を持ち、どの成分が含まれているかを理解できます。
全成分表示が義務付けられているため、製品に含まれる成分を確認することができます。
アルミニウム塩などの主要な制汗成分が何なのか、アレルギーを引き起こす恐れのある成分が含まれていないかを確認しましょう。
医薬部外品の場合は効果効能が明確に表示されていますので、製品が実際に期待できる効果を確認できます。
「汗を抑える」、「においを防ぐ」などの具体的な効果が記載されているかを確認しましょう。
制汗剤の広告やパッケージに記載されている効果効能には、科学的な根拠が求められます。
これらの効果が実際に立証されているかを確認することが大切です。
製品の効果を裏付けるデータや臨床試験結果が公開されているかを確認しましょう。
メーカーのWebサイトやパッケージに試験結果やデータが記載されているかを確認します。
第三者機関の認証や評価は信頼性の高さを図る指標のひとつに。
皮膚科医の推薦や消費者団体の評価など、第三者の意見を参考にしてみるのも良いでしょう。
製品の広告やパッケージに記載された情報が、誇張や虚偽でないかを見極めることが大切です。
実現不可能な効果を謳っていないかを慎重に確認しましょう。
「永久に汗を止める」、「一日中効果持続」といった極端な表現には注意が必要です。
「97%のユーザーが満足」といった具体的な数値には、根拠となるデータが存在するか確認が必要です。
チェックポイント: このようなデータがメーカーのWebサイトやパッケージに明示されているかを確認しましょう。
今回は制汗剤という身近な商品を題材に、そこに関わる法律について見ていきました。
製品のパッケージやキャッチフレーズだけでなく、製品の分類や成分、効果効能、使用されている表現に問題はないのかなど、今までと違った視点で商品を選ぶきっかけになれば幸いです。
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